井上雄彦氏といえば「SLUM DUNK」や「バカボンド」作者として有名である
その井上武彦氏のもうひとつの名作である車椅子バスケを題材にした「リアル」がKindleにて配信された。井上雄彦氏の作品が電子書籍化されたのはこの作品が初である
「リアル」とは
「リアル」とは1999年連載開始よりこれまでに14巻を刊行し累計部数も1500万部をこえる人気作品である
同作品は「車いすバスケ」を題材にした作品であり、自身のバイク事故で同乗者に障がいをもつ怪我を負わせた野宮朋美、骨肉腫により右足を切断した戸川清春、交通事故により下半身不随になった高橋久信の3人が主人公となっている。その3人が「車椅子バスケ」を中心に障がい者というテーマのもと現実的(リアル)な困難や葛藤に直面しながらもバスケを通じて乗り越えていく様子を描いた作品だ
2001年には「第5回文化庁メディアげ雨術祭マンガ部門優秀賞」を受賞た。また2014年11月の掲載を最後にもともと不定期だった連載が休載されていたが、ことし5月より連載を約4年半ぶりに復活させていた
その他作品の配信予定
ここで気になるのは、その他作品の配信予定だろう
もともと井上雄彦氏は作品の電子書籍化には前向きではなかったようだ。明確なソースはないのだが、「SLUM DUNK」ではあの有名なラストシーン花道と流川のシーンは見開きで描かれていた。これが電子書籍になると半分づつ表示されることになり、あの感動は半分以下になるだろう
また「バカボンド」では作品を墨と筆で描いており、その風合いが作品の雰囲気を醸し出していると言っても過言ではない。紙と墨・筆ならではの風合いが電子書籍で再現できるのかどうか
おそらく自身の作品と電子書籍の相性という点から他の作品の電子書籍化が進んでいないのだろうと思う
今回の「リアル」の電子書籍化は、2020年の東京パラリンピックが開催されることで「車椅子バスケ」の認知度を上げたいという作者の思いと出版社の電子書籍化の要望といったところがマッチした結果だと思う